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2026年度診療報酬改定に向けた急性期入院医療の評価とDPC改革の方向性

2026年度の診療報酬改定に向け、急性期医療の評価指標が見直され、救急搬送や麻酔手術が中心となる。DPC制度の改革も進行中で、内科系の評価の改善策が提案されている。


1. 急性期入院医療の評価指標の見直し

急性期入院医療の評価指標は、2026年度診療報酬改定に向けて重要な見直しが進められています。2025年9月25日に開催された診療報酬調査専門組織「入院・外来医療等の調査・評価分科会」では、「救急搬送受け入れ」と「全身麻酔手術」の実施状況が、今後の評価指標の中核となることが示唆されました。これらの指標は、病院の急性期機能を具体的に反映し、高度な急性期医療を提供する施設の評価に大いに寄与することが期待されています。
特に救急搬送受け入れについては、地域全体でのシェアや24時間体制の受け入れ状況が評価対象となり、市民にとっての安心安全の礎となる基礎医療の充実を図る上で欠かせない要素となります。また、全身麻酔手術の実施件数は、病院の高度医療機能の証として位置づけられ、その質・規模が直接的に病院評価に結びつくことになります。
さらに、今回示された改定案は、DPC(診断群分類包括評価)制度との親和性も考慮されています。この制度改革の目的は、急性期入院医療の標準化を推進し、病期ごとの一貫した評価基準を設けることにあります。急性期の一般病棟がDPC制度によりしっかりと評価されることにより、各病院が提供する医療の質をさらに向上させることが期待されます。
この見直しが進む中で、救急搬送の受け入れにより増加する医業費用と、その経常利益との関係性も重要視されています。施設の収支バランスを適切に保つための評価軸の設定は、医療機関にとって必要不可欠な要素です。

2. 内科系症例の看護必要度評価の改善

内科系症例の看護必要度評価が低いという問題が浮上しています。これに対する改善策として、内科系の検査や処置に対する評価を充実させる動きが見られます。具体的には、A・C項目に内科系の負荷が高い検査を追加することで、内科患者の医療必要度をより適切に評価することが検討されています。これにより、外科系に比べて不利になりがちな内科系症例の評価を改善し、看護必要度が低く算定される問題の解消を図ります。
さらに、救急搬送患者を評価するための新たな加算案も提案されています。内科系症例に多く見られる救急搬送患者を適切に評価するため、一定の係数を乗じることで加算を行う仕組みです。これにより、救急搬送を多く受け入れ、対応する病棟の評価を適切に高めることが期待されます。これにより、内科系症例が低評価されることなく、適切な看護が提供される体制が整うことが望まれます。

3. DPC制度改革の方向性

DPC(診断群分類包括評価)制度は、日本の医療制度における重要な枠組みで、急性期入院医療の標準化を図るために導入されました。
今後のDPC制度改革の方向性として、複雑性指数や再転棟ルールの見直しが重要なテーマとなっています。
\nまず、複雑性指数についてですが、この指数は患者の病態の難易度や治療の複雑さを示す評価指標です。
この指数の見直しにより、急性期入院医療がより精密に評価されることが期待されています。
具体的には、入院初期における治療の重要性を重視し、包括範囲出来高点数を活用して早期の治療効果を反映させることを目指しています。
これにより、患者の状態が不安定な段階から安定するまでのプロセスがより明確に評価されるでしょう。
\n次に、再転棟ルールの調整についてです。
再転棟は、患者が異なる病棟に移動することを指しますが、DPC算定病床以外の病床を持つケアミクス病院が増えている現状では、これが頻繁に行われる可能性があります。
この状況を考慮し、同一傷病による再転棟は、一定期間を超えても一連の入院として扱うことを検討しています。
これにより、患者の継続的な治療が妨げられることなく、適切に評価される体制が整うことが期待されます。
\nさらに、点数設定方式の見直しも進められています。
在院日数の中央値を基準とすることで、特定の日数までの在院を促すインセンティブがより明確になるよう調整が図られています。
これにより、診療報酬が患者の状態や医療の提供実態に即したものとなり、医療資源の適正な配分が可能となるでしょう。
DPC制度改革は、急性期入院医療の質を向上させる重要なステップとなることが期待されており、今後の展開に注目が集まります。

4. 持参薬ルールの中長期的検討

診療報酬調整において、DPC(Diagnosis Procedure Combination)制度における持参薬の取り扱いに関する議論が進行しています。
医療現場での持参薬の使用は、患者の利便性を図りつつも、公平な医療提供の観点からも見逃せない重要な問題です。
\n\n現在、日本の診療報酬制度下では、入院に際して患者が持参する薬の取り扱いに一部の医療機関でばらつきが見られます。
この差異は、医療機関間での数多くの問題を引き起こしかねません。
患者が外来で受けた診療の薬を入院時に持参し、それがどのように計上されるべきかについての統一ルールがないためです。
\n\n持参薬ルールの明確化は、DPC/PDPS(患者分類群別包括評価請求制度)内での公平な支払いを目指すために不可欠です。
持参薬の使用割合が大きく異なる現状では、全国的に統一された基準作りが求められています。
これにより、医療現場における混乱を減らし、患者にとっても安全性が確保されるようになります。
\n\n厚生労働省での調査によって、持参薬に関する課題が浮き彫りにされており、持参薬ルールの一環として考慮すべき要素が複数存在しています。
それには、持参薬が自院で処方されたものか他院のものか、予定入院か緊急入院か、入院中の診療内容との関連性、さらには薬剤の特性までが含まれます。
これらを踏まえ、持参薬の合理的な運用を実現することが目指されています。
\n\nまた、持参薬ルールの中長期的な目標として、DPC制度以外の包括評価の取り扱いも見直すことが挙げられています。
地域包括ケア病棟や地域包括医療病棟における持参薬の利用方法についても検討が進められるべきです。
これにより、医療機関の提供するサービスの質がさらに向上し、患者に対してもより良い医療環境が形成されることが期待されます。

5. 最後に

2026年度の診療報酬改定が進められる中、急性期入院医療の評価とDPC制度の改革が挙げられます。
診療報酬の変更は、医療現場に直接影響を及ぼすため、詳細な議論と分析が重要です。
特に急性期入院医療の評価では、救急搬送の受け入れや全身麻酔手術の実施状況、「総合性」といった要素が柱になっています。
これらの評価指標を基にしながら、医療の質を向上させ、適正な診療報酬の設定を目指します。
\n\nDPC制度についても、この改革の中心として注目されています。
DPCの複雑性や入院日数II、再転棟ルールの見直しは、急性期の患者ケアをより適切に反映するための措置として進められています。
特に、持参薬の取扱いについては、多くの医療機関で運用が分かれており、統一的なガイドラインが求められています。
\nこれに加えて、内科系での看護必要度の評価改善や、急性期医療体制の集約化が求められています。
内科診療で不利に働く査定基準の見直しも進んでおり、救急搬送の受け入れ度合いや処置内容に応じた評価が検討されています。
\n\n2026年度診療報酬改定に向けた取り組みとして、中医協での議論は深まっています。
これまでの議論の流れを受け、総合的な医療評価を行うことが必要であり、それがより効率的で質の高い医療提供を実現するのです。
今後の医療改革が、どのように患者と医療従事者に利益をもたらすのか、注視されます。

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